ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
二人でレジデンスに帰ると聖壱さんからすぐにソファーへと座らされる。いくらお腹に赤ちゃんがいるからって、過保護すぎないかしら?
「そこで座って待ってろ。すぐに珈琲を……いや、香津美はお茶にしておいたがいいのか?」
慌ててスマホで調べながらキッチンへと向かう聖壱さんの後姿がおかしくて、思わず笑いそうになるの。今までだって十分優しくしてもらってきたけれど、これからはもっと大事にされるのかも……
もしかしたら子煩悩なお父さんになるんじゃないかなんて思ったけれど、それは正解だったりするのかしら。
私はバックからスマホを取り出して、この報告を待っているはずのなほの番号をタップした。簡単な連絡は普段メッセージで済ませているせいか、こうして通話で伝えるのだと思うと少し緊張する。
『もしもし……』
「あの、私だけど。その……」
さっさと妊娠していたと言えばいいだけなのに、変に緊張してるからかそれが上手く出来なくて。けれどそんな私の事を妹はよく分かっているようで。
『……そうですか、良かったですね。姉さん、おめでとうございます』
その穏やかななほの声に、胸がじんわり温かくなってくるの。なほが背中を押してくれたから、私もキチンと聖壱さんと子供や仕事の事について向き合って話すことが出来た。
だから……
「うん、色々ありがとう……なほ」
素直に妹のなほへ感謝の言葉を伝えることが出来た。