ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「なほさんか?」
キッチンから聖壱さんがカップの乗ったトレーを持って歩いてくる、この香りはハーブティーかしら?テーブルの上にカップを並べると、聖壱さんも私の隣に腰を下ろす。
「ありがとう聖壱さん、わざわざ調べてくれたんでしょう? それと、なほがおめでとうって」
カップを手に取って、綺麗なそのハーブティーを見つめる。当然のように「気を付けろよ」と、聖壱さんは過保護モードのままだったけど。
「月菜さんには伝えなくていいのか? 俺は香津美次第で柚瑠木に話すかを決めるつもりだが」
「ええ、でも安定期に入ってから話す人も多いらしいし……」
月菜さんにあまり心配をかけないように、そうした方がいいのか悩んでいる。けれどこの契約結婚でお互い助け合ってきたし、そんな彼女へすぐに伝えたい気持ちは大きくて……
「俺が月菜さんだったら、早く話してもらいたいかな? それに今日は彼女にとっても特別な日だろ」
「え、あ……」
そう、今日は月菜さんの誕生日。この日は柚瑠木さんとのデートなんだと喜んでいた彼女にメッセージを送ったのだった。
きっと月菜さんなら、私達の妊娠を自分の事のように喜んでくれるんじゃないかしら。それならば、彼女の記念日に伝えたい……