ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
さっきなほに電話したばかりのスマホをもう一度操作して、今度は月菜さんの番号をタップする。二人の誕生日デートを邪魔されたことで、あの柚瑠木さんが渋い顔をするのを思い浮かべながら。
だけどこの報告を聞けば、そんな柚瑠木さんだって許してくれるでしょう。
プルルル……プルルル……プルルル……いつもならどうってことないコール音にも、今か今かとドキドキしてしまう。
『もしもし、香津美さん? どうしました……』
「月菜さん、聞いて! 私、赤ちゃんが出来たわ」
まだ喋っていると途中だった月菜さんに構わず、私は自分が妊娠したことを前置きも無くいきなり告げた。いざこの事を話すとなると変に緊張して、通話前に考えていたようには伝えることが出来なくて。
そんな私の言葉は、電話の向こうで話を聞いていた月菜さんまで戸惑わせてしまった。
『え……今、なんて?』
私の言葉をもう一度確認してきた月菜さん、予想もしなかった報告に彼女もかなり動揺していることがこちらまで伝わってくる。そんな月菜さんの様子が可愛らしくて、いつのまにか私の緊張も解れてくるから不思議だけど。
「だからね、その……赤ちゃんが出来たの。私と聖壱さんの」
『え、ええ? 二人の赤ちゃんが、ですか!?』