ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
珍しく大きな声を出す月菜さん、スマホからその声が漏れ聞こえたようで聖壱さんが笑いを堪えている。きっと月菜さんの隣に居るはずの柚瑠木さんも驚いているでしょうね。
私だって赤ちゃんを授かったのは予想外の出来事だったんだもの、何も知らなかった二人がビックリするのは当然だわ。
「そうなの。昨日検査して陽性反応が出てね、今日ホスピタルで調べてもらったの。まだ早い時期だから迷ったんだけど、月菜さんにはやっぱり話しておきたくて……」
今だって戸惑いや不安が無いわけじゃない、出産や育児これからの事を考えれば嬉しいばかりじゃないのが本音だったりもする。
でも妊娠したことを知れた瞬間は、これ以上ない程の喜びと幸せを感じたから。
どうしてもこの気持ちのまま、月菜さんに知らせたかったの。きっと自分の事のように喜んでくれる、そんな彼女に。
柚瑠木さんはきっと隠れて聖壱さんにお祝いの言葉を言ってそうだけど。
『ありがとうございます! 私、何でも力になりますからいつでも頼ってください。何なら赤ちゃんのおむつだって……!』
月菜さんはもうすっかりその気になって、まだ小さな小さな赤ちゃんのオムツの心配まで。そんな彼女の真っ直ぐな優しさに私も頑張らなきゃって思えるようになるのよ。
「あははは、気が早いわよ月菜さん! とりあえず、また会ってゆっくり話しましょう。二人の時間を邪魔してごめんなさいね」
あまり長々と話していたら、柚瑠木さんからヤキモチ妬かれるかもしれないしね。次に会う約束をして私は通話を切った。