ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
寝室で休むように聖壱さんに言われたけれど、そこまで体調が悪いわけではないからと簡単な家事を済ませる。結局その半分ぐらいは心配した聖壱さんに奪われてしまったのだけど。
「辛くなったらすぐに言うんだぞ? いつでも狭山の家から使用人を頼むことは出来るんだ」
「分かったから、そんなに過保護にならないでちょうだい。息が詰まっちゃいそうよ」
そう言えば聖壱さんは「うぐぐ……」と唸って、しぶしぶ私から仕事を奪うのを諦めてくれた。ごめんなさいね、私は会社での秘書の仕事もこの家の家事もやめる気は無いの。
ニコリと微笑んで聖壱さんの頭を撫でてあげれば、その手を掴まれ少し強引にキスをされてしまう。何度も軽い口付けを繰り返していると、「ピンポーン」とインターフォンが鳴った。
「……ああ、やっと来たか」
モニターに映っているのは、聖壱さんのサポート役の沖名さん。まだ勤務時間のはずなのに、どうして彼が……? すぐに部屋まで上がって来た沖名さんの手には本屋の紙袋、彼はそれを私に手渡してくる。
「奥様、おめでとうございます。今後は何かあれば遠慮なく自分におっしゃってくださいね」
どうやら聖壱さんは沖名さんに私の妊娠のことを話してしまったらしい。まあ、そうでなければ今日の産婦人科に来ることは出来なかったのでしょうけど。
紙袋を開けて中身を出せば妊娠、出産の情報雑誌と名付け本がいくつも入っている。どうやらこの人も相当気の早いタイプみたいね。