ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「ありがとう、沖名さん。私は何もかも初めてだから、頼りにしてるわね?」
男性の沖名さんに頼れることは仕事くらいかもしれないけれど、そばに理解してくれる人がいるのはとても有り難い。そう思っていたのだけど……
「任せてください、これでも子供四人を育ててるんです! 何でも聞いてくださいね」
「よ、四人の子持ちですって!?」
自慢げに胸をドンと叩いてみせる沖名さんだが、私は今までこの人を独身男性だと信じて疑わなかった。まさかこの容姿で四人も子供がいるなんて……
さすがに聖壱さんはその事を知っていたようで、うんうんと頷いているだけだった。
「当たり前だろ? 香津美の教育係に若い男性社員なんて危険だからな、沖名は愛妻家で一番安全だと判断したんだ」
そう言えば私が働き始めた時から、聖壱さんはあの人に近付くなこの人に話すなと煩かったわね。どれだけヤキモチ妬きなのよ、この人は。
「大変ですね、奥様。では社長のヤキモチが始まらないうちに自分も失礼します」
「そうみたいね。でも沖名さんにまでヤキモチ妬くようだったら、私がちゃんと叱っておかなきゃいけないわね」
そんな話をすれば聖壱さんがムスッとした顔をするので、二人で苦笑いするしかない。その後、沖名さんは聖壱さんから大切な書類を渡され会社へと帰って行った。