ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
沖名さんが持ってきてくれた妊娠・出産情報誌を二人で仲良く見ていると、聖壱さんがある記事を読んで思いきり顔色を変えた。
どうしたのかと思い俯いて震える聖壱さんを覗き込んでその頬に触れようと手を伸ばした、その瞬間。
「香津美! 俺たちは立ち合い出産を希望するよな!?」
「……はい?」
立ち合い出産というと、夫が妊婦の傍で赤ちゃんが産まれるまで励まし見守るという? それって私が陣痛や出産で苦しむ姿も、全部聖壱さんに見られてしまうという事で……
「そんなの、駄目よ! 立ち合い出産なんて絶対駄目」
冗談じゃないわ! だってテレビで見たことがあるもの、出産の痛みは鼻からスイカを出すほどなんだと。そんな痛みに耐えられるわけない、きっと聖壱さんにそれはもうみっともない姿を見せてしまうはず。
そんなの私の無駄に高いプライドが許さない。
「なんでだよ? 二人の赤ん坊が生まれる瞬間を見たいと思うのは、この子の父親として当然の事だろ」
「だけど産むのは私一人なの! 聖壱さんに何と言われようと絶対に嫌よ」
お互いに喜んでいたはずの妊娠で、なぜか言い合いになってしまう。まさかこんな最初から意見が分かれてしまうなんて、この先のマタニティライフが不安だわ……