ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「当たり前です、香津美さんと聖壱より僕と彼の方が付き合いがずっと長い。困った時に聖壱の頭にはきっと僕が浮かぶのでしょう」
この……陰険冷徹男! でもね、私が大人しく言われっぱなしになるような可愛い女だと思わない事ね!
「あら、そうなの? ならば柚瑠木さんに何かあった時、頭に浮かぶのは最愛の妻の月菜さんではなく親友の聖壱さんということなのかしらね?」
ふん。私だってずっと性悪お嬢様と呼ばれてきた女よ、性格の悪さと嫌味な言葉使いで負ける気はないのよ。
「なっ、そんな事は!」
「悲しいわね、月菜さん。私達はいつだって一番に愛する夫の事を想っているのにねえ?」
焦って月菜さんを見る柚瑠木さん、だけどそれを無視するように私の隣にいる月菜さんに同意を求めてみせる。
そうすると月菜さんは少し悲し気な表情をして……
「そうなんですか? 柚瑠木さん……」
「違います、僕は月菜さんだけです!」
月菜さんの言葉に柚瑠木さんは何度も彼女の手を取って謝って……普段見れない柚瑠木さんの姿に驚きながらも、そんな二人が少しだけ羨ましかったり。
でも、これに懲りたら少しはその嫌味な性格を直す事ね! そうやって勝ち誇った顔でハーブティーに口を付けたのだった。
……しかしこの事をしっかりと根に持っていた柚瑠木さんに、後々ガツンと仕返しされることになるのだけど。