飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「さあ、お家のことでもやらなきゃね!」

 気合を入れてそういうが、引きこもりだった私には家事の経験は皆無。一応二階堂(にかいどう)の娘ということで、ほとんどの事は使用人に任せきりだった。
 もちろんこの家でも使用人として働いてくれる方はいるが、出来るだけ(かい)さんの妻としてできることは自分でやっておきたいな、なんて思ってしまったり。

 そんな気持ちで朝食の食器を片付けて、寝室のシーツと悪戦苦闘していると玄関のチャイムが鳴った。

「こんな朝早くに、誰……?」

 この家のお手伝いさんが来るにはまだ早すぎる。だからと言ってそれ以外の誰かがこの新居に来る予定もない、ドキドキしながらインターフォンを確認すると……

「おはようございます! 朝早くにすみません、宅急便ですが」

 インターフォンの画面に映っているのは確かに宅配会社の制服の男性、ずいぶん朝早いがホッとして玄関に向かう。もしかしたら櫂さんが何か注文していたのかもしれない。

「はあい、おはようございます」

「おはようございます、朝早くにすみません。お姉さんが新河(しんかわ) 千夏(ちなつ)さんで間違いなかったですか?」

 ずいぶん馴れ馴れしい話し方、まだ若い配達員さんだからなのかもしれないが少し違和感を感じながらも「そうです」と頷いた。


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