飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「うん、美味い。千夏は意外と料理の才能があるのかもしれないな」
「意外とって何気に失礼じゃないですか? 私だってやれば出来る子なんです、今までは料理も出来る環境ではなかったし……」
自室から出ると周りの人たちに嫌な顔をされる、そんな事もあって部屋に篭りがちだった私が料理をする機会などあるわけもなく。学校の調理実習の時間にクラスメートに下手だと笑われたこともある。
そんな私に櫂さんは全く逆の言葉で褒めてくれるから、なんだかむず痒くって……
「そうだな。正直な話、俺のために千夏がここまで頑張ってくれるとは思わなかった。そんな頑張り屋な君が俺にはどれだけ可愛く写っていると思う?」
櫂さんの言葉にすぐに頬を染めてしまうが、そんな私を見て彼はニヤリと笑う。
また揶揄われたのだと気付いて、櫂さんから小鉢を取り上げようとするとその手首を掴まれて引き寄せられる。
椅子に座ったまま器用に私を近づけた彼は、慌てた私の耳元で優しく囁いてくる。
「……千夏が可愛くて堪らない、この小鉢の後に君を食べちゃってもいい?」
「た、食べ……?」
いくら世間知らずの私でもテレビや漫画はよく見ていた。すぐに櫂さんの言葉に含まれた意味に気が付いて慌てて彼から逃げ出そうして……
「だ、駄目です! 私は美味しくなんか、きゃあっ!」