飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「いいです、櫂さんは仕事で疲れてるんだから先にお風呂に入っちゃってください!」
結局、夕飯の時間をイチャイチャして過ごしてしまった私達。食事を終えて洗い物をしようとする私から仕事を奪おうとしてくる櫂さんを、何とかキッチンから追い出そうとしている。
櫂さんは朝から晩まで働いているのだから、それくらい私に任せて欲しいのに……
「そうか? じゃあお言葉に甘えてそうしようかな。でもせっかくならこれを終わらせて一緒に入るということも……」
「一緒に入ったりなんかしません! 馬鹿な事を言ってないで、今日の疲れをとってきてください」
櫂さんの余計な一言を慌てて否定しながらも、本当にそんな日が来るのかもしれないとドキドキする。私のために櫂さんはゆっくりとしたスピードで距離を縮めようとしてくれている。
だからきっと私たちは本当の夫婦になれる気がしているの、たとえ始まりが契約だったとしても。
「さて、と。他にすることは……」
洗い物を終えた私がそう呟いて振り返ると……
「千夏、これは何?」
いつの間にか私の真後ろに戻ってきていた櫂さんの両手に抱えられた段ボール箱、そう言えば中身は取り出し飾っていたが箱はそのままにしてしまっていた。
「あ、それは……」
「送り主は二階堂になっているね? あの家の人間が好意で千夏に物を送るとは思えないんだけど」