飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「ちょっと待ってくれ、俺たちはまだ結婚したばかりだし千夏が幸せを感じているかどうかなんて……」
慌てて私と梓乃の間に入り込むようにし、櫂さんが口を挟んできた。もちろんそれは私が戸惑う事を心配しての行動だと分かったけれど、大丈夫だと言うように彼の手をそっと握ってみせる。
いつか幸せになってからじゃない、梓乃は今の私が少しでも幸せを感じているのかを知りたいはずだから。
「幸せよ、もちろん。それがどんな形で始まった結婚生活であっても、相手が櫂さんならばそれは変わらないわ」
「千夏……」
私の言葉に驚いたような櫂さんだけど、これが私の本音だったから。確かにいきなりの結婚で契約という形ではあるものの、櫂さんとだから毎日がこんなに楽しい。
私をあの屋敷から連れ出してくれた彼は、いつだって私の不安も弱さも全て受け止め包んでくれるから。
「……本当に? 本当に幸せになったの、姉さんは?」
私があの屋敷でどんな扱いを受けていたのか、それを誰より知っている梓乃だから。今私がどれだけ自分に素直でいられるかを分かってもらいたい。
「うん、あの頃よりずっと幸せよ。今はここが……櫂さんの隣が自分の居場所だって信じられるから」
「……そう、姉さんは幸せなの。私も、同じように幸せだと思えるかしらね。あのジジイが決めた結婚相手と」