飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「今日はありがとうございました。私だけじゃなく梓乃の力にもなってもらって、本当に櫂さんにはいくらお礼を言ってもいい足りない……」
家に帰ると櫂さんに望まれて、ソファーで彼の腕の中に納まりながら私は頭を下げる。きっと彼はこうなる事も予想して梓乃の事も何とかしてやると言ってくれたに違いない。
いつもいつも先回りをして私を助けてくれる、そんな彼に私はどうやってこの感謝を伝えればいいの?
「んー、それなら俺も千夏に一つお願い聞いてもらおうかな? どうせお礼だけじゃ気が済まないって君は言うんだろうし」
「櫂さんが私にお願い、ですか? それはもちろん、私に出来る事なら何だって……」
むしろそう言ってくれた方が有難い、そんな櫂さんの気遣いを嬉しく思いながら返事をすると彼はちょっと意地悪そうに微笑んで……
あれ? もしかして私は上手く櫂さんの思い通りの行動を取っていたりする?
「じゃあさ、これから風呂に入るから背中を流してくれる? 俺はずっと奥さんに背中を流してもらうのが夢だったしさ」
「む、無理です! 無理無理無理無理……!!」
まさか予想もしなかったお願いに、私は手と頭の両方をブンブンと振ってみせる。いきなりなんてことを言うのよ! そんな事私に出来るわけないじゃない!
お風呂に入るってことは、櫂さんも裸だし……もしかして私も? そんな想像しただけで頭から湯気が出てきそう。