飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「なんで? 千夏が何だってしてくれるって言ったんだろ?」
わざとらしく首を傾げる櫂さんに私は口をパクパクさせて絶句するしかない、それって絶対計算して言ってますよね! 一度言った以上やるべきだとは思うけれど、今の私にそんな勇気はあるはずもなく……
困ったように眉を下げて櫂さんを見上げてみると、そんな私を見た櫂さんが今度は戸惑ったような表情をする。
……え、どうして?
「千夏、それズルい。きみは分かってやってるの、そういう顔」
「顔って、なんのことですか?」
今度は私が首を捻る番、どうして私がズルいのか全然分からないのだけれど……そんな私にちょっと怒ったのか、櫂さんが腕に収まっていた私をガバリと抱きかかえそのまま歩き出した。
「え? か、櫂さん。ちょっと、私自分で歩けます!」
恥ずかしさからジタバタともがく私に構わず、彼はリビングを抜けてズンズンとバスルームへと向かう。ちょっと待って、もしかして櫂さんは本気なの?
「ダーメ、無意識にそんな顔をする妻にはお仕置きしないと」
「お仕置きぃ!?」
予想もしなかった言葉に、思わず声がひっくり返る。私は何も悪い事した覚えはないんですけど!? 余計に焦って必死で暴れるけれど、簡単に抑えられてバスルームへと連れ込まれてしまう。
……もしかして私は今、もの凄くピンチなんじゃないですか?