飴色溺愛婚 ～大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む～
「うわあ、ズルぃ……」
浴室のドアを開けた途端に言われたその言葉に、私は何も文句は言えない。狡いと分かっていても、私はまだ櫂さんに素肌をさらす勇気はなかったのだから。
白いビキニの上からさっき櫂さんが脱いだばかりの白いシャツを着た私、ぶかぶかのシャツは上手く私の身体を隠してくれている。今はそれがとても有り難い。
「背中を流すだけならこれでも問題ありませんし、言われた通り水着だってちゃんとつけてますから」
どうせ洗濯するのだからシャツが少しくらい濡れても構わないはず、そんな風に考えていた私は少し櫂さんを甘く見ていたのかもしれない。
少しくらい怒るかと思っていたのに、櫂さんは黙って湯舟から上がるとシャワーの前のバスチェアーに腰を下ろす。ちゃんと腰にタオルを巻いてくれていたのを見てホッとしたのは一瞬で……
「……え？ き、きゃあっ！」
シャワーからお湯を出し始めた櫂さんがくるりと振り向き、後ろに立っていた私にそのシャワーヘッドを向けてきたのだ。
驚いて後ろに下がっても意味は無かった、彼はシャワーのお湯で私の上半身がビシャビシャになるまで逃がしてはくれない。
「……うん、これくらいでいいかな？ 今日着ていたシャツが白くて良かった」
そう言う櫂さんの声はどこか楽しそうで、私はほんの少しだけ嫌な予感がした。
