飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
契約結婚……もそれぞれ違いがあって
梓乃から連絡があったのは、あのスイーツバイキングで話した日から数週間経った日曜の夜の事だった。いつ彼女から御相手の高宮さんとの顔合わせの連絡が来るかと思って緊張していたが、そんな心配をよそに梓乃はあっさりと電話で私にこう言った。
『私、高宮 一輝さんと結婚することにしたわ。近いうちに籍をいれて一緒に住むけれど、結婚式は少し先になると思うから……』
「は? え、なんで? だってまだお相手の方とは会ったばかりなんでしょう、そんなすぐに決めなくてもお父様の事なら私たちが何とかするって」
驚いて私も櫂さんと顔を見合わせる、まさかそんなに早く決めてしまうなんて思ってもいなかった。もし父から何か言われたりしたのではないかと心配になる。
私も父に言われるまま結婚したとはいえ、櫂さんは隠れて何度も私に会いに来てくれていたのだし……
『いいの、私も高宮さんと話してお互い納得出来るような夫婦関係が築けそうな気がしたから。彼は私の出した条件をすべてのんでくれたの』
「……条件、それはどういう事?」
淡々と話す梓乃の様子に逆に嫌な予感がした。昔から自分の事は自分で解決しようとする妹だから、余計に心配になる。そんな私に梓乃は少しだけ黙った後で……
『私ね、高宮さんと契約結婚をする事にしたのよ』
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。まさか……梓乃が、どうして?