飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「いったいどうしてそんな事を? 梓乃、あなたは何を考えて……」
そう言いかけて止まった、私も同じように櫂さんと契約結婚をしている。そしてその理由はまだちゃんと話してもらっていない。
……そして私もそのわけをしつこく櫂さんに聞くようなことはしてこなかった。だって知るのが怖かったから。
『大丈夫、ちゃんと考えての契約結婚なの。私と高宮さんに合わせた形の……姉さんたちが選んだ形の契約結婚があるように』
「どうして梓乃がその事を……⁉」
私は梓乃に契約結婚の話なんてしてない、それなのに彼女がそんな事まで知っているということは? まさかと思うけれど……
『お義理兄さんを責めないでね、彼も私にアドバイスのつもりで話したんだと思うし。結果的には納得のできる結婚をする事になりそうだから』
そう話す梓乃の声は明るい、とても前のような暗い雰囲気ではないけれど。だからと言って心配がなくなるわけでもなく。
「でも、困ったことがあったらちゃんと話してよ? 私は梓乃の味方をするって決めてるんだから」
『はいはい、暑苦しいお姉さんね。分かってる、何かあったら一番に相談するわ。じゃあね』
私はまだ話足りないのに、梓乃はあっさりと通話を切ってしまう。手に持ったスマホを見つめたあと、もやもやが治まらず傍にいた櫂さんを責めることにした。