飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「おはようございます、(かい)さん」

 今日はいつもよりも早起きをして朝食を準備してみた。櫂さんは気を使わなくていいと何度も言ってくれるけれど、私も出来る事を増やしていきたくなっていた。
 二階堂(にかいどう)の家ではキッチンに入る事も許されず料理などしたことなかったが、有難いことに今はスマホで色んなレシピを探すことも出来る。その中で初心者向けの卵料理などを見つけ出し、自分なりに頑張って作ってみたところだった。

「朝食、千夏(かい)が作ってくれたんだ?」

 いつの間に起きてきたのか、ちょっと驚いたようにテーブルを見ている櫂さん。形の崩れたプレーンオムレツに歪な形のタコさんウインナー、でもサラダは綺麗に出来たと思うんだけど……
 そんなにジッと見られると、緊張するんですけど。少しでも櫂さんが喜んでくれるといいなと思っての事だけど、やっぱり余計なことだったのかしら。

「あの、無理に食べなくても……」

「食べるよ! 全然無理なんかじゃない、ただ嬉しくて」

 そう言って席について手を合わせる櫂さん。その瞳はキラキラしていて、本当に喜んでくれているのだと分かる。

「千夏も一緒に食べよう、俺もう待ちきれない」

「もう、櫂さんったら……」

 子供みたいに私を急かす櫂さんに心がほっこりしてくる。席について私も手を合わせると、櫂さんはさっそくプレーンオムレツに箸を伸ばした。


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