飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
机の上に置いたままだったスマホの画面をタップして調べるのは「契約」という単語。いくつか出てきたうちの一つをクリックすれば、さっき家政婦の女性が教えてくれたような意味が載せられていた。
契約が約束……そして権利と義務なのならば「契約婚」とは? 大きく息を吸い込んで覚悟を決めるともう一度スマホをタップして入力し直した。
【婚姻前にあらかじめ結婚生活のルールや内容を契約して結婚すること。夫婦関係の継続期間や離婚についてなどの取り決めを行っておくこと】
離婚という言葉に、私はドキッとした。櫂さんは私達の契約結婚についてあまり詳しいことは話してくれない、だけど私は彼に渡された書類に間違いなくサインをした。
その中に確かにこの結婚の期間と離婚についての記載があったのは覚えてる。なるべく気にしないようにしていたけれど、これってやっぱりそういう事なんだわ……
私をあの家から連れ出すと言ってくれた櫂さん。でも私を自由にしてやるとは言ってくれたけれど、幸せにしてやるとは言わなかった。
あんなに私に優しくしてくれても、キス以上の行為に進むことも無い。そういう風な匂わせはするけれど、必要以上には触れて来ない。
「いつか離れるのが決まっているから?」
……じゃあ何のために、私を二階堂の家から連れ出したの? 優しくされてこんなにも櫂さんに心奪われてるのに、いつかは彼から離れなきゃいけないなんて。
スマホを持った手が震える、もっとこの結婚について知らなければ不安で仕方がない。