飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
胸がバクバクと音を立ててる、もしこの結婚の意味が私の思っているようなものと大きくかけ離れているとしたら? 櫂さんが何を考えてるのかなんて、全然分からない。
そのままパラパラと捲るとひらりと何かが最後のページから落ちてきた。
「……写真? いったい何の」
床に落ちた写真をしゃがみ込んで拾って見ると……
「これ、私……?」
写真に写っているのは間違いなく私だった、けれどその写真は最近の物ではないとすぐに分かる。写真に写っているのは二階堂の屋敷の窓から外を見ている私の姿だった。
たぶん自分が知らないうちに撮られたのだろう、私がカメラに気付いている様子もないしずいぶん遠くから撮られた物のようだったから。
「どうしてこんなものを……」
写真の後ろに何か触れる感触がして裏返すと、そこには可愛い柄の飴の袋がテープで貼ってある。この飴って確か私がとても気に入って買っていた商品で、売ってあるお店が少なかったはず。
そう言えば櫂さんは私と初めて会ったのはカフェだと言っていた、あのカフェで私は櫂さんこの飴を手渡したのは覚えてる。
「じゃあ、この袋って……?」
まさかあの時の袋を櫂さんはずっととっていてくれたの? この写真ももしかしたら私の事が気になって隠し撮りしたものだったり?
そう考えるとさっきまで不安だったはずの胸の中が、温かなドキドキに変わる。