飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
自分は単純な人間だと思う、こうやってすぐに不安になったり嬉しくなったり。そういう所が父たちの癇に障ると言ってよく怒られた。
でも櫂さんはそうじゃない、そんな私の欠点も全部受け止め包んでくれている。そんな優しさまで疑ってはいけないのかもしれない。
それでも父の会社と櫂さんがどういう繋がりがあるのかは分からないまま。もちろん私たちの結婚がお互いの会社にとって有益なものにならなければいけないことくらいは理解してる。
父にとって私はそれくらいしか使い道のない存在だもの。それでも……
そのまま写真を眺めてぼんやりしていると、自分の部屋でスマホが鳴っている事に気付いた。慌ててスケジュール帳に写真を挟みなおして机の引き出しに戻す。
まだ調べきれてないけれど、私は仕方なく櫂さんの書斎から出て自分の部屋へと戻った。
机の上からスマホを取って画面を確認すると、電話をかけてきたのは柚瑠木兄さんだった。私は迷うことなく通話ボタンをタップしスマホを耳にあてる。
「もしもし、柚瑠木兄さんどうしたの?」
私が結婚してからというもの、櫂さんに気を使ってか電話をかけてくるのはいつも月菜さんだった。それなのに、今日はどうして……?
さっき見た櫂さんのスケジュール帳の内容が何となく引っかかり不安になる。もしかして柚瑠木兄さんに聞けば何かわかるかもしれない。
……そんなことを考えてしまった。