飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
『千夏、新河さんとの新婚生活はどうですか? 月菜さんが貴女に会いたがってて、そろそろ一度顔を見に行きたいと思ってるんですが』
「ええ、順調よ。櫂さんはとても良くしてくれるし、二階堂の家にいた時とは大違い。毎日が楽しくて、それで……」
何も不満なんて無い、そのはずなのに次の言葉が思い浮かばない。そんな私の様子に、付き合いの長い柚瑠木兄さんが気付かないわけが無かった。
『何か、気になる事があるんですか? いつもの千夏らしくありませんね』
「そんな事は……」
無いと言えない、私の胸の中は昨日からずっと波立っているようで。私と櫂さんの契約結婚の意味や、父の会社の経営に彼が関わっているかもしれない事。
気になる事が多すぎて、とても不安になってしまってる。
『千夏、ボクは貴女に会って話さなければいけない事があります。なるべく早く、時間を作れませんか?』
「話って……いい話? それとも悪い話?」
「……会って、話します」
分かってる、こんな風に真剣に話す柚瑠木兄さんの様子できっと良くない話なんだって。でも今それを聞くのが少し怖い。それでも私には柚瑠木兄さんの話を聞くしかない。
……たとえ妾の子だとしても、私はあの二階堂 萩の娘なのだから。