飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「まだ確実とは言えません、ですが信用できる人間に調査を依頼しています。千夏はこの事について何か叔父さんから聞いたことはありませんか?」
「私は、何も……」
柚瑠木兄さんの力になりたいが、私はあの家でいないような存在だった。もし何か父がやっていたとしても、まず私には話さないでしょうし。
でもきっと柚瑠木兄さんはこの事について私を信用して相談してくれているに違いない。私に出来る事、柚瑠木兄さんの話せる事といえば……
フッと櫂さんの笑顔が頭の中で浮かぶ、もし彼が父と手を組んでいたりしたら。そう考えるととても不安になったけど、私は櫂さんを信じたいと思った。
「父の事についてはほとんど知らないわ。でも偶然気になるものを見つけたの、夫の書斎で」
「新河さんの? それはどういう……」
柚瑠木兄さんは少し戸惑った様子を見せたが、すぐに私に真剣な表情で聞き返してきた。私は櫂さんの部屋で見たスケジュール帳に書かれた内容、いくつもの父の会社に視察に行っていたことを兄さんに話したのだった。
「そうですか、分かりました。ですが今日千夏が話したことは全部忘れてください。きっと新河さんは千夏を悲しませるようなことはしていないはずですから」