飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「本当に……?」
私の不安な気持ちを察してくれた柚瑠木兄さんが優しく微笑んでくれる。いつの間にこんな笑顔を浮かべる人になったのだろう? きっとこれも月菜さんのお陰なんでしょうね。
そんな柚瑠木兄さんが伝票を取り席を立ったので、私もグラスの水を飲みほして立ち上がった。話は終わったのでしょう、これから月菜さんと会えると思うとワクワクする。
「千夏さん! お久しぶりです、また会えて嬉しいとても嬉しいです」
そう言って柚瑠木兄さんの車から手を振る月菜さんは、やはり素敵な笑顔で。今は柚瑠木兄さんとの結婚生活が上手くいっていているのだと分かる。
こんなに素敵な夫婦に私と櫂さんもなれる時が来るのかしら? きっと私たちの間にはまだ隠された問題があるのでしょうけれど。
「私も会いたかったわ、月菜さんも元気そうで何より」
そう言って柚瑠木兄さんの車の後部座席に乗り込んで、月菜さんを抱きしめた。私が来るときのために彼女はこっちで待っていてくれたのだろう。
「今日は一つ千夏さんにお願いしたいことがあるんです。聞いてもらえますか?」
「月菜さんからのお願いならもちろんよ!」
そうやって柚瑠木兄さんに車の運転を任せて、私と月菜さんは思い切り女同士の会話を楽しんだのだった。