飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「なあ、千夏。今度の週末は、一緒に海に行こうか?」
話題を変えるように、櫂さんは私に笑顔でそう言ってくれる。今の私にこれ以上、二人の赤ちゃんの話は出来ないと思ったのかもしれない。
変に彼に気を使わせてしまったような気がして、少し申し訳ない気持ちになる。だけど、海という言葉はずっと引き籠りだった私にはとても魅力的で……
「海、ですか? いったいどこの……」
「それは内緒、その日のお楽しみにしておこう。千夏があんまり余計な事ばかり考えないように、な」
どうやら私が考え事をしていたことは全部彼にはバレているらしい。櫂さんは私の事を何でも分かっているのに、私は櫂さんの事がよく分からない。それが少し寂しかった。
それでも櫂さんの明るい笑顔に私は救われるから、いつまでもクヨクヨするのは止めよう。
「約束ですよ? 私、すごく楽しみにしてますからね」
「俺は千夏との約束は破らないよ、こう見えても俺は、君に嫌われないように必死なんだから」
櫂さんはそう言ってくれるけれど、私にはそんなに彼から好かれる自信が無い。私の方がいつも櫂さんに嫌われないように必死な気がしてるくらい。
……でもこんな二人の時間が続いて欲しい、もっとずっと先まで。