飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「どこに向かってるんですか、そろそろ教えてくれても……」

「んー、着いてからのお楽しみだって。本当はホテルに一泊してのんびり出来れば良かったけど、明日は少し用事があるからな」

 用事? 私は何も(かい)さんから聞いてなかったはずだけれど、何かあるのかしら。聞いても教えてくれなさそうなので、私はその事については触れないでいることにする。
 車はそのまま高速に乗り、どうやら千葉の方へと向かっているようだった。

 途中のサービスエリアでお手洗いを済ませ、甘いカフェオレを持って車に戻る。梓乃(しの)ほどではないが私も甘い物が好きで、つい買ってしまうのだけど。
 後から車に戻ってきた櫂さんが同じのを持っていて、おかしくて笑ってしまう。こういう関係でいられるのがとても幸せだった。

「うわあー、綺麗ですね! まだ寒い季節なのに結構人がいるみたい」

 車を停めて海を眺めるが、やはりまだ少し肌寒い。もう一枚羽織ってくるべきだったと思っていると、櫂さんが自分の上着を私にかけてくれる。

「駄目ですよ、櫂さんが風邪ひいちゃいます」

「俺はそんなにやわじゃない、それに千夏(ちなつ)が風邪をひくよりかはずっといい」

 櫂さんに上着を返そうとしても、彼は受け取ってはくれずその上着で私をグルグル巻きにしてしまう。わあ、櫂さんの匂いがする……


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