飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「せっかくだからこの辺を色々見て回ろう。乗馬センターなんかもあるんだ、千夏も乗ってみたいと思わないか?」
「乗馬! 馬に乗れるんですか、本当に?」
まさか乗馬センターまであるとは思わなくて、櫂さんの提案に私はすぐに賛成した。父は馬が好きで何頭も所有していると聞いているが、私に馬を見せてくれるわけもなく。
いつも姉や兄が乗せてもらったと自慢してくるのを聞いているだけだったから。
「それだけじゃない、もう少し駅の近くに行けばいちご園もある。泳げない季節でも十分楽しむことが出来るんだ」
そう言って笑う櫂さん、ちゃんと下調べまでしてくれてるなんて本当に優しい夫だと思う。私が元気が無いからと、こうして休みの日だって遊びに連れてきてくれる。
ただの契約結婚の妻に本当にそこまでするかしら?
どうしても期待してしまう、この結婚の意味が私にとって悪いものでは無いんじゃないかと。父の事も私の気にし過ぎなんじゃないかって……
「イチゴ、大好きです……」
「そうだな、でもいちご園は最後のお楽しみにとっておこう。俺はまず千夏の作ってくれたお弁当が食べたいから」
櫂さんの笑顔は眩しくて、とても悪いことを隠しているようには見えない。でも彼は一度私に契約結婚にはデメリットもあると話していた。それがどうしても気がかりではある。
でも考えすぎないように、今は楽しい事だけに目を向けて櫂さんとの時間を過ごすことに決めた。