飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「約束通り会いに来たぞ、千夏」
どうしていつも貴方はそんなに自信にあふれた顔をしてるの? まるで私が窓を開けて貴方に会いに来るのが当然だと言うように……
その自信が、余裕がいったいどこから来るのか不思議だった。
「私が出てこなければどうするつもりだったの? ずっと石を投げ続けるなんて無理だし、他の人に見つかるかもしれないのよ」
「千夏が思ってるほど俺は馬鹿じゃないし、別の方法だっていくらでもある。こうしているのは演出みたいなものだしな」
なに? この人は何を言っているのか、意味がよくわからない。そもそもどうやってこの屋敷に入り込んだのかも、何が目的なのかも私は全く教えてもらってない。
それに彼の言う演出とはいったい何のこと?
「何よ、それ? 貴方が何の目的があって私に近づこうとしているのかは知らないけれど、私には何の価値も……」
「千夏が自分に価値がないというなら、俺がどれだけお前に価値があるのかをこれから教えてやる」
私に価値がある? そんなはずはないわ、この家にとって私なんて居てもいなくても同じ。いいえ、それどころか父にとって隠してしまいたい存在でしかないのよ。
もしかして私を誰かと勘違いしてる? でも彼が呼ぶのは間違いなく私の名前で……戸惑っている私に彼は私に向かって両手を広げるようなポーズをとった。
「そこから降りて来い! 俺ならお前がまだ知らない事も全て教えてやれる」