飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


「随分食べていたね、本当に千夏(ちなつ)のお腹は底なしなのかと思ったよ」

 そんな意地悪を言ってくる(かい)さんだけど、今は気分がとてもいいので許せちゃう。それくらい私はたくさんのイチゴを食べてご機嫌になっていた。
 お土産のパックいちごまで買って、鼻歌交じりで車の助手席へと乗り込んだ。

「さて、次が最後だ。これからお土産を買いに行こう、千夏も渡したい相手がいるだろう?」

「はい!」

柚瑠木(ゆるぎ)兄さんと月菜(つきな)さん、後は妹の梓乃(しの)へ。何を渡そうかと考えるだけでワクワクしてくる。櫂さんが連れて行ってくれたのは道の駅、そこで私たちはゆっくりと店内を見て回りそれぞれにお土産を選んで購入した。

 梓乃に選んだはピーナッツの形をした最中、甘い物が好きな彼女に良いと思ったから。柚瑠木兄さんと月菜さんにはタルトのケーキ、びわと落花生とさつまいもと三つの味が楽しめるのが良さそうでこれにすることにした。
 そして自分用にはいちごのミルフィーユパイ、やっぱりイチゴがとても美味しかったから。お土産を両手に抱えてウロウロしていると、会計を済ませて櫂さんもこちらへとやってくる。

「千夏ももう会計を済ませたんだな、俺も職場や両親に選んできたよ。それじゃあ、帰るとしようか」

 そう言うと櫂さんは私から荷物を取り上げて歩き出す。自分で持てるというのに、過保護な彼はすぐこうやって私を甘やかしてしまう。
 本当は、このままでもいいのかと迷う気持ちはある。でも今は少しだけこの優しさに浸っていたかった。


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