飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
でもどの会社も父がとても自慢していたのを覚えている。確か新しい取り組みを彼が考えているんだと言っていたような……?
そのおかげで収益が上がった、そう言って喜んでいたはずなのに。
「櫂さんの手帳に書かれていることとは違う、どっちが本当のことなの?」
少し雑に書かれた-の付いた赤の数字、そこに書いてある文字がもしそういう意味だとしたら? 考えれば考えるほどに混乱していく。少しでも早く柚瑠木兄さんにこの意味を教えてもらわなくては。
大きめの鞄にその用紙を入れて、クローゼットの奥へと仕舞う。櫂さんがこの部屋の中に入ってくることはないが念のためにその周りに人形などを並べて置いた。
そして柚瑠木兄さんは約束通り、火曜の午前中に私を迎えに来てくれた。
「待たせてしまいましたか? 今日は少し寒いので、千夏は家の中で待っていれば良かったのに」
後五分程で着くとメッセージが来て、私は柚瑠木兄さんを家の門の所で待っていた。彼の言う通り今日は気温が低くて風が冷たい、それでも部屋で待っていられなかったのは私が落ち着かなかったせい。
柚瑠木兄さんに話したいことも、聞きたいことも色々考えてきてる。そう伝えると柚瑠木兄さんは後部座席のドアを開けてくれたので、私はそのまま車へと乗り込んだ。
……ふふふ、助手席は月菜さんの指定席なのね?