飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「あら、もしかして不安なの? 千夏は新河さんの事を信じてるんでしょう、だったら聞いても平気なはずよね」
私の動揺を感じ、異母姉の百々菜は気分を良くしたようで悠然と微笑んだ。今まで通り自分が優位に立てたことで、いつもの余裕を取り戻したらしい。
こんな事でしかその心を満足させるしか出来ないこの人もある意味では可哀想なのかもしれない。父や兄から可愛がられてはいても、自分一人を見てくれる人には出会えてないのだろうと。
「ええ、信じてます。彼は私を悲しませるような事はしない、そう言えるくらいには大事にされている自信がありますから」
「ふうん、そうなんだ? じゃあ教えてあげようかしら、新河さんがアンタなんかをわざわざ選んだ理由を」
百々菜は自分が選ばれずに、私が櫂さんの結婚相手になったのがよほど不満だったのかもしれない。彼女は櫂さんが私を妻にした本当の理由をずっと探っていたに違いない、父や兄の傍で。
「……どうぞ? 何を言われても櫂さんを信じます、私は彼の妻なので」
負けない、負けたくない。たとえ何があっても、どんなことが真実だとしても。私の気持ちだけはこの異母姉に潰されてたまるもんですか。
キッと百々菜を睨んで見せれば、彼女はますます気に入らないと言わんばかりに眉と目を吊り上げる。こうやって挑発しておけば、異母姉は間違いなくさっきの話を私にするでしょうから。