飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「お見合い……私がですか?」
珍しく父から呼ばれた彼の部屋へと向かえば、そこでとんでもない言葉を聞かされる。この部屋に呼ばれてたのは私だけでなく、兄や姉そして妹までソファーに座って私を睨んでいるように見えた。
いったいこれはどういう事なの? 見合いの話が来るのなら私ではなく姉の方じゃなければおかしいのではないだろうか?
チラリと姉を見れば私を見つめるその視線は鋭く、憎しみすら込められてる気がする。兄や妹も姉程ではないが、いつもより冷たい眼差しを向けてくる。
嫌われて疎まれているのは今に始まったことじゃない。だけど今日は明らかに家族の対応がいつもと違う。それに奥の席に座る父だって……
「そうだ、お前には近いうちに見合いをしてもらう。もちろん断る事など許さない」
「どういう事ですか? いきなりそんな事を言われても……」
今までずっとこの屋敷の奥に閉じ込められていた私にお見合い話? 姉や妹と違い、何の特技も能力もないこの私が?
「何度も言わせるな、お前みたいな娘には勿体ない程の話なんだぞ。相手の方に感謝するんだな」
感謝しろと言われても、何がどうなってそんな話になったのかも私にはわからないのに。もしかしてここしばらく使用人たちが騒いでいた、大きな取引先との縁談話?
でも、もしそうなのならば尚更……