飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「私の言葉で幸せにな気持ちになれるんですか、櫂さんは?」
今までずっと私は存在するだけで、人を不快な気持ちにさせると言われてきたのに……この人はあの屋敷の人たちと全く反対の事を言ってくれる。
私は二階堂の家にいる時と何も変わっていないのに、どうして?
「ああ、なるよ。言葉一つで俺をこんな気持ちにさせることが出来るのは、きっと千夏だけだ」
そう言って櫂さんは優しい笑顔のまま私の頭をそっと撫でてくれる。私のことをこんなほわほわした気持ちにさせてくれるのは、櫂さんが初めてかもしれない。
自分と櫂さんがお互いに特別な気持ちを与え合っているようで、なんだかくすぐったい。
「カッコいい人はそんな事もサラリと言えちゃうんですね。凄くモテてそうですもんね、櫂さんって」
長身でスタイルの良い美形、それだけじゃなく明るい雰囲気で気軽に話してくれる彼はきっと女性に人気があるはず。そんな彼はきっとこんなセリフは言いなれているに違いない、そう思ったのに……
「天国から地獄に突き落とすようなことを言うのは止めてくれ、俺は誰にでもこんなことを言ったりしない」
「え、あ……すみませ、ふぐっ!」
ちょっと拗ねたような表情の櫂さんが、その長い指で私の鼻を摘まんで引っ張ってくる。謝ろうと言いかけた言葉も、途中で言えなくなってしまった。