飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
どうして私の方がズルくなるの、櫂さんの言う事って時々よく分からない。でもどんな櫂さんも見せてくれるっていうのは悪くない、ちょっとくらい弱みも握れたりしないかな?
家族や使用人に囲まれ怯えていただけのあの頃とは違い、こうして外に出て自分の気持ちを素直に言葉にすることが出来る。
それだけで私はまるで別人になったような気がして、物凄く前向きに変わっていく。
「それでいいんじゃないですか、普段は他の人にも見せたことのない櫂さんを私だけに。たとえ貴方が物凄い怖がりだろうと、意外なほど甘えん坊でもきっと愛しいと思えるようになります」
「……その言葉に嘘が無いって分かってる分、俺を振り回してるって君は気づいてないよな? だけどそこまで言ってくれるなら、これからは遠慮なく俺も千夏に甘えさせてもらおうか」
「ええ、どうぞ!」
櫂さんが私のことを認めてくれる度、自信がついて色んな事が出来るようになる気がしてくるから不思議。
この時私は櫂さんの言葉の意味を深く考えることなく、そのままに受け取っていたのだった。
「さて、千夏の機嫌も直ったし次は何にしようか? 俺はこれなんかいいと思うけど……」
櫂さんが指差したのは大きなモニターに気持ち悪いたくさんのゾンビが写っているシューティングゲーム。よりにもよってこれを選んだのは、さっき私が彼を怖がりだとか言ったから?