飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「いいですよ? 私は別に怖がりじゃありませんし」
ホラー映画だって心霊番組だって割と平気なんだから、画面に出てくるゾンビを撃てばいいだけでしょう? それくらい私にだって出来るわよ。
「そう、残念。もし千夏が怖がりなら、プレイ中に君に抱き着いてもらえるかとちょっとだけ期待したのに」
「だ、抱き着いたりしません! こんな人が見ているところでそんな事……」
この人はいったい私に何をさせたいの!? とても残念そうにそんな事を話す櫂さんに、つい大声を出して慌てて声のボリュームを下げる。
ゲームの楽しみ方を間違っている櫂さんなんかに負けたくない、今度こそ勝ってやると本気でゲームに挑んだ。はずなのに……
「……神様は不公平だわ、櫂さんばかりの味方をして」
ゲームオーバーの画面を見つめながらそう呟くと、隣でまだプレイ中だった櫂さんが噴き出した。ちなみに私は櫂さんの腕の中、結局彼の望みばかり叶ってる。
「くくっ、怖いのが平気だって言ったのは千夏だろ? その割にはギブアップが早かったけれど」
背の高い櫂さんを下から見上げて睨むけれど効果はない、それどころか私の腰に回した腕に力を込めて抱き寄せてくる。
さっさと離してくれていいのに、もう!
「早くこの腕を離して! さっきから周りの人に見られて恥ずかしいんです」