飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「はいはい、千夏の方から俺に抱き着いてきたくせにそうやって恥ずかしがるんだな」
余計な一言まで付け加える櫂さんはあんまり好きじゃないかも。だって仕方ないじゃない、ゲームなのにゾンビの画像がやけにリアルだったんだから。
それに櫂さんが言うほど大胆に抱き着いてはいないはず、ゲームの最中にちょっとだけ彼の傍に近寄っただけよ。
私の身体からそっと腕を離すと、櫂さんはまたゲームに集中しだす。安全な日本で育ったはずの櫂さんにこんなにライフルが似合うのはどうしてかしら?
男臭くないスマートな人なのに、しっかりと男性の色気は持っている。私は彼の隣に立っていておかしくないかな?
「見て、あの男性めっちゃカッコよくない? ゲームも上手いし……」
少し離れた場所で女性が二人、櫂さんの事を話してる。彼は何をしていなくてもその容姿で人の目を惹く、若い女性ならなおさら……
「うんうん、アタシも物凄くタイプなんだけど思い切って話しかけちゃう?」
すぐ傍に私が立っているのに彼女達には櫂さんしか映ってない。もしあの女性たちに話しかけられたら、櫂さんはどうする?
こんな時どうすればいいのか全然分からなくて、とても不安になってしまった。
「……ねえ、あの傍に立ってる子は彼女かなあ?」
「まさかぁ、妹じゃない? 彼とは全然釣り合ってないじゃない、気にせず行っちゃおう?」
彼女たちの言葉にズキンと胸が痛む。自分でも何となく気づいていたことを、こうやって他の女性から聞かなきゃならないなんて……