飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~


 嫌味な事を言われる事には慣れている、あの屋敷にいたころは部屋から出れば身内や使用人の悪意ある言葉が付いてまわったから。
 今までの私だったら聞かなかったことにしてそっとこの場を離れただろう。その方が余計に相手から嫌がらせされなくて済む。
 だけど今は……

「彼はまだプレイ中ですよ、なんのためにこの人に近づこうとするんですか?」

「別にいいじゃない、ちょっと彼とお話ししたいだけだもの。ゲームだってもう終わりそうだし、ねえ?」

 気の強そうな女性が私の前に立ち、邪魔をするなと言わんばかりの顔をする。とても綺麗な人なのに、私は好きになれないと思った。

「彼と何を話すんです? 初対面の男性に貴女たちはいったいどんな用があるというんですか?」

「はあ、別にアンタにそこまで関係なくない? もしかして彼の恋人気取り? 全然釣り合ってないわよ」

 さっきからずっと(かい)さんと一緒に居ると気づいてるくせになんて意地悪な言い方をするんだろう。私みたいな普通の女子は相手にならないと言いたげな彼女にムクムクと怒りがわいてくる。
 確かに私は地味な引き籠り女だけど、負けん気だけは充分あるんだから!

「関係ならあります、だって私は彼の妻ですから」

 ハッキリと言い切れば、女性たちはポカンとした顔で私を見ている。そんなに私たちが夫婦に見えなかったことに、少しだけショックを受けたけど。


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