飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「櫂さんが怒ったらあっさり逃げちゃいましたね、彼女達あんなに話したがってたのに」
私なら簡単にいう事を聞かせられると思っていたから、あんな態度だったのだと思う。でも櫂さんに対しても、彼女達ならもっと粘ると思ったんだけど……
「イメージと違ったんだろ? 俺、興味ない相手には優しく出来ないタイプだし」
確かにさっきの櫂さんはいつもよりきつめの態度だったと思う。それでも私のこと守ってくれようとしたのも分かったし、私は逃げたりする気にはなれない。
それどころか、あの時はもっと……
「なあ、千夏。さっき言ってくれた言葉って千夏の本心? 俺さ、あんなこと言われると勝手に期待しちゃいそうなんだけど」
「さっきの言葉って、いったいどれのことですか?」
私は何か櫂さんを期待させるようなことを言っただろうか? ゆっくり先ほどの事を思い出していってもそれらしき言葉は見つからない。
そんな私を櫂さんは苦虫を噛み潰したような顔で見つめて大きなため息をついた。あーあ、それじゃハンサムな顔が台無しです……
「何だ、ぬか喜びか……」
心底残念そうな表情に櫂さんを見てなんだか申し訳ない気持ちになってくる。私はそんなに櫂さんに悪いことをしてしまったのかしら?