飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
契約結婚……の二人の夜にトキめいて
「今日は疲れただろ、風呂を沸かすように頼んでおいたからすぐに入るといい」
櫂さんと二人で家に帰ってきたのはずいぶん遅い時間で、彼の言う通り私はもうクタクタになっていた。
ゲームセンターで思い切り遊んだ後、少し喫茶店で休んだかと思えばショッピング。必要最低限しかものを持たない私に、櫂さんはなんでも買い与えようとするので困ってしまったり。
その後もあちこち連れまわされて、普段運動しない私は帰りのタクシーの中でグッタリしていた。
「はい、そうさせてもらいます。私はもう早く休みたいです……」
夕飯は帰る前に済ませてきたし、お風呂に入ってしまえばベッドにそのまま倒れ込んでもいい。もう頭の中は柔らかなベッドとサラリとしたシーツのことで頭がいっぱいで、とっても大事な事をすっかり忘れてしまっていたのだった。
温かなシャワーとクリーミーな泡で丁寧に今日の汚れを落としていく。スッキリしてからバスタブにつかると本当に幸せな気分。
屋敷に住んでいたころはゆっくりお風呂につかる事も難しかった、家族の入浴が済んで自分の番になるとすぐに意地悪な使用人が今から掃除を始めると言い出していたから。
あんなに広い湯舟にもほんの数回しか浸かれなかったな……
こうして櫂さんと契約とはいえ夫婦になって、こんなに贅沢をして幸せでいいの? 契約結婚という事だから愛情は必要ないのかもしれない、でも私は今こうして櫂さんといて間違いなく幸せだと思う。