飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
ゆっくりと湯船につかってホカホカになると、余計に睡魔が襲ってくる。眠気と闘いながらドライヤーで髪を乾かし、なんとか肌の手入れを終えた。
今日は絶対ぐっすり眠れるはず。お風呂上がりの気持ちよさのまま寝てしまおうと、リビングにいる櫂さんに挨拶しに行ってふと思い出す。
「そういえば、寝室って……」
寝室の話をされたときは戸惑ったが、その後に櫂さんと色んな事をしてすっかり忘れてしまっていた。確か寝るときは二人で一つのベッドに、だったはず。
「さあて、俺も風呂に入ってこようかな」
「ひゃあっ!」
櫂さんの声で眠気に負けそうだった意識が一気に覚醒し、おまけに変な声まで出てしまった。驚きで心臓がバクバクと音を立てている。
……ちょっと待って、落ち着くのよ千夏。櫂さんはきっと私が嫌がるようなことはしないはず! でもハッキリと彼からそういう言われたわけでもなく、櫂さんはむしろ何かあるかのような態度をとっていた。
「わ、私は先に休ませてもらいますね。おやすみなさい、櫂さん!」
それだけを伝えると、私はそのまま逃げるように寝室へと走って行った。
「くくっ、本当に……俺が来るまでに寝れると良いな、千夏」
そんな櫂さんの呟きには気付く事のないまま、ベッドの上で私は眠れないままガーゼゲットに丸まっていた。