飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「本当に、妬いてなんか……」
いないんです、ってどうして言えないんだろう? こうやって櫂さんに自信満々で攻められると、私みたいな恋愛経験ゼロの女はあっという間にどうにかなってしまう。
……冷静でいられるわけないでしょ、こんなの。なのに櫂さんはそんな私をますます追い詰めようとしてくる。
「嘘つき、千夏は俺に嘘をつくんだ? 本当は妬いたんだって素直に言えないの?」
色っぽい熱を感じる瞳、余裕のあるその微笑み……契約結婚の初夜のはずなのに、この大胆不敵な御曹司は私に遠慮なく迫ってきてるっ!
どうしよう、どうすればいい? 本当に私はこのまま櫂さんに食べられちゃうかも。
「だから、私はヤキモチとか分からな……いっ」
いつの間にかすぐ傍にあった櫂さんの顔が、彼の薄い唇が私の頬に触れた。驚きで変な声が出ても、櫂さんは気にせずその場所に何度も唇を当てる。
そうしてもう一度、私にその視線を向けたかと思うと……
「可愛い嘘をつく妻には、お仕置きしなくちゃいけないよな?」
「……っつ!」
ギラリとした妖しいその瞳の輝きに、一瞬だけ息が止まった気がした。普段の櫂さんはとても優しいのに、今の彼は絶対に肉食獣にしか見えない!
怖くないのに、違う意味でとても怖い。それなのに私は胸のどこかがゾクゾクしてるなんて、本当に困ってしまう。