飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「か、櫂さん! ごめんなさい、おでこ大丈夫っ!?」
予想しなかった攻撃で頭を押さえて蹲ってしまった櫂さん。私は慌てて彼に近寄って手を伸ばそうとすると……ガシッとその手首を掴まれて。
呻いていたはずの櫂さんが顔を上げてニッと悪戯っぽい笑顔で笑って言った。
「ほーら、捕まえた」
「か、櫂さん!? どうして……っ」
さっきの頭突きは相当痛かったはずなのに、余裕の表情で櫂さんは私の手首を掴んでいる。そのまま彼に引き寄せられそうになり、焦って離そうとするけど彼の腕はビクともしなくて……
「予想外の事をしてくるんだな、千夏は。そんなに夫とのキスが嫌か?」
「櫂さんとのキスですって! まさかそれがお仕置きのつもりなの?」
そんなの聞いてないし、想像だってしなかった。恋愛に疎い私にそんな経験など有るわけもなく、今のがそんな雰囲気だと気付けもしなかった。
「そうだよ、俺にとってこれ以上ないご褒美にもなるしな。まさかこの状況で頭突きされるとは思いもしなかったけど、くくっ……」
「笑わないでよ、私はすっごく焦ったんですから」
こんなに私はパニックになっているというのに、頭突きを受けても全然余裕の櫂さんが憎らしい。いつかはこの人を思い切り焦らせてやりたいわ。