飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「もう、私のこと揶揄ったりしませんか? いきなり迫ってきたりとかもしないって約束してくれます……?」
櫂さんの言った妻の全てを知っていいのは夫だけ、という事には文句を言うつもりはない。私も他の人が知らない私だけの櫂さんを知りたいし。
だけど、彼がこれからも私を揶揄って遊び続けるつもりなのは納得がいかないの。もう可愛いという言葉で、簡単に誤魔化されたりしない。
「……」
「まさか約束出来なんですか、櫂さん?」
彼にとって私を揶揄う事はそんなに大事な事なのだろうか? 確かに私にちょっかいを出しているときが、櫂さんは一番生き生きしていた気がする。
でもそれって……本当に私を妻として扱ってくれてる? 黙ったままの櫂さんを見つめて大きなため息を吐く、これって私が折れた方がいいの?
「……絶対、っていうのは無理。俺はもっといろんな千夏の顔が見たいし、どんな反応だって知りたい。でも、少しくらいは我慢するから」
……少しだけ、なんですね。櫂さんが我慢できるのは。
どうやら彼は根っからの悪戯っ子らしい、きっと子供時代はとんでもない悪ガキだったんでしょう。
でもシュンとした櫂さんは本当に可愛くて、とうとう私は我慢できずに彼の頭をギュウっと両腕で思い切り抱きしめた。
「ち、千夏!?」