飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「本当に分からないのか? あんな思い切り俺の事を抱きしめておいて」
抱きしめておいて? そう言われてもお気に入りのぬいぐるみをそうするのと同じようにしただけ、それのどこに問題があったというの?
櫂さんの言っている意味が分からないと首を傾げれば、ますます呆れたような顔をされて……
「何ですか? 言いたいことがあるのならハッキリ言えばいいじゃない。櫂さんらしくないですよ?」
また大きなため息をつかれて、ちょっとだけカチンときてそんな態度をとる彼を責める。その事を後でどれだけ後悔するかも知らずに。
「言ったら千夏が怒るって分かってるからな、俺だって君に嫌われることをわざわざ自分から話したくはない」
「そんな言い方をされたら余計に気になるじゃないですか! 怒らないのでちゃんと教えてください、私の何が悪かったの?」
気付かないならそのままの方が良い、そんな櫂さんの気遣いを無視してまた私から彼に詰め寄った。見た目ほどおとなしい性格をしていない私は、こういう時に意外と大胆だったりする。
するとそんな様子の私に焦りだした櫂さんが……
「だから、千夏は少し自分が女だってことを気にしてくれって言ってるんだ。さっきだって俺の顔に胸を思いきり押し付けて……!」
「……なっ!」
櫂さんの発言に驚いて、言葉が出なくなる。まさか、そんな……私は櫂さんになんてことを!