飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
私はなんて幸せ者なんだろう? こんな優しくて素敵な人が私を迎えに来てあの屋敷から連れ出してくれた。
一生あの家に閉じ込められたままなのか、それとも別の檻に入れられた人生を送るのかと思っていたのに。
「ありがとうございます、櫂さん。私を見つけてくれて……」
彼との出会いを考えれば、こうして再会できただけでも奇跡に近いと思う。それなのに櫂さんはそれを自分の力で実現させたのだから。
そんな価値は私に無いと言えば、君にはその価値が十分にあると言い聞かせてくれる。こんな私を自分に相応しい妻だと必死で伝えようとする。
こんなに私のことを大切に思ってくれる人なんて、きっとどこにもいない。
「俺が千夏を見つけたかったから探した、もう一度会えたのは運命だからだ」
「随分と力ずくな運命ですね?」
なんて笑って言えば、抱きしめる腕の力がグッと強くなる。私もこんな素敵な運命なら信じていいと思いますよ、櫂さん。
「力ずくで何が悪い、欲しいものを手に入れるためならそれくらいでなきゃな」
「櫂さんが言うと説得力がありますね、本当に」
そのまま櫂さんはベッドに私を横たわらせて、自分もその横にゴロンと寝ころんだ。その後はお互いに何も言わず、目を閉じて静かに眠りについたのだった。