飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
契約結婚……に幸せと安らぎを感じて
いつもより朝陽が眩しく感じる、目を閉じたままでもこの空間がとても居心地のいい場所であることが分かった。
今まで与えられていた日当たりの悪い部屋とは違う、大きな窓ガラスからこれでもかというほどの日の光が差し込んでくる。
「ふふふ、ここは天国だったりするのかしら?」
肌触りの良いシーツ、柔らかな感触の上掛けにまだ夢の中から出てこれないでいる。
「勝手に天国に行かれたら困るかな、俺たちの新婚生活はまだこれからなんだし」
耳元で色気のある声がしてヒュッと息が止まりそうになる、これも今までの生活とは大きく違う事。そう、隣で私の夫である櫂さんも一緒に眠っていたという……
「ひゃっ……! お、驚かないでください櫂さん。私はまだ幸せな時間を噛みしめていたんですから」
「くく、そのまま眠らせてやりたいのは山々だが、今日は少し用があるんだ。朝食を準備しておいたから一緒に食べよう?」
櫂さんの言葉を聞いて今度は真っ青になる。櫂さんが朝食を作ってくれている間、私はグースカ眠っていただなんて。
「ごめんなさい、また櫂さんに作らせてしまって! 今度は私が作るべきだったのに」
昨日空いた時間にいくつかのレシピを探せるアプリをダウンロードしておいたのに。やる気だけで現実には何も出来ていないなんて。
「交互に作るという決まりを作ったわけじゃない、千夏はまだ無理をする必要はないんだ」
「櫂さん、でも……」