飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「そう言えば櫂さんは兄弟はいるんですか? 私のところは一番上が兄で次が姉、そして妹がいます。まあ、私だけ母が違うんですが……」
私の母はもともとあの屋敷の使用人として働いていて、父との関係を持ったのもその時らしい。
みんな私の母が父の事を誑かしたというが、私の記憶に残る母はそんなことが出来るような人ではなかった。
むしろ強引で乱暴、自分勝手な父の方がよっぽど……
「ああ、そうらしいな。君との縁談を進めようとしているのに、彼らには随分邪魔をされた。千夏の兄と姉でなければ、顔も見たくないな」
「……そう、だったんですね。兄と姉が迷惑をかけてすみません」
あの人たちからすれば大企業の御曹司の彼に私はさぞ相応しくなく感じただろう。父だって姉か妹をこの人に嫁がせたかったはずだ。
でも、もう私は櫂さんから離れる事なんて考えたくない……
「気にする事はない、千夏が悪いわけじゃないんだから。それより、千夏は俺に兄弟がいるか当てられるか?」
いつもと変わらない、櫂さんは私を責めたりすることなく明るい話題へとすり替えていく。そんな彼に私はどれだけ心の安らぎを感じているか……
「そうですね、櫂さんはきっと長男だと思います。世話焼きで面倒見がよくって……弟も妹もいる気がします」
「すごいな、千夏。正解だ!」