飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
ズバリ当てたことが意外といわんばかりの櫂さんの反応にちょっと拗ねた顔をすれば、すぐに頭を撫でて機嫌を取ってくれる。
子ども扱いされてるのかも? と思うけれど、それで嫌な気持ちにはならないから櫂さんは凄い。
「千夏の言う通り、ちょっと我儘な妹と年の離れたヤンチャな弟がいるよ」
「妹と弟……ですか。仲が良いんでしょうね、櫂さんと」
正直な話、私にとって兄弟とは自分を攻撃してくる存在だったわけで。
それでも初めに紹介されたときは仲良く出来るかもなんて期待してた。もちろんそんなの無理だってすぐに理解したのだけど……
だから兄弟仲良さそうな櫂さんが羨ましく感じて、ちょっとだけ嫉ましくもあった。
「今度紹介する、二人ともきっと千夏を本当の姉のように慕ってくれるはずだから」
「そう、だと良いんですけど……」
櫂さんは嘘をつかないし、彼の言うことは信じられる。それでも私はまだ外の世界に踏み出す勇気はなくて。
本音はまだ二人だけもいいなんて、そんな事を考えてしまうの。
「こうやって連れ出してもらっておいて、我儘ですよね。櫂さんは私の為に色々してくれてるのに」
二階堂の人間が見たらきっとこういうだろう「妾の子のくせに」と。私は一人の人間として扱うべき存在ですらなかったから。
けれど、この人は違う。
「千夏の我儘なら俺がいくらでも聞いてやるし、それは我儘じゃない。新しい世界に不安を感じるのは誰だって同じ、千夏は俺の腕を掴んでいればいい」
「櫂さん……」
何度だって私が自信を持てるまで、この心が沈んでいても浮かび上がらせてくれる。