飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「今でも不思議なんですよね、櫂さんがこうして私を選んでくれたことが。私と櫂さんの出会いなんてありふれたものだったのに……」
あの日、柚瑠木兄さんと月菜さんに誘われて入ったカフェ。たまたま隣に座ったのが櫂さんで、彼が咳をしてたから持っていたのど飴を渡しただけ。
たったそれだけの事だったのに……
「そうか? 俺は千夏と話してすぐに運命の相手だって思ったけどな。君には一目惚れよりずっと強力な引力みたいなのを感じたから」
「い、引力ですか? 私にはそんな能力は無いんですけど……」
櫂さんの言うことは時々スケールが大きすぎてちょっとついていけない。それに人を惹き付ける能力なら、私より櫂さんの方がずっとすごいと思うのだけど。
けれど櫂さんはそんな私に笑顔で頷いて見せる、まるで自分の感じたその感覚は間違いではなかったとでもいうように。
「千夏が気が付かないだけだ。君はそうやって自分を卑下するが、本当の千夏は凄く魅力的な女性なんだぞ?」
「そんなこと言われても、私……」
自分を褒められなれてない私にとって、櫂さんの言葉は極上の飴玉のように甘い。その蕩ける様な甘さに胸の奥からクラクラさせられる。
「そうやって恥ずかしがらず認めてしまえばいい。君はこの新河カンパニーの御曹司である俺を、一瞬で骨抜きにしてしまうほどの女性なのだから」
「櫂さん……もう、お願いだからそれくらいにして……」