飴色溺愛婚 ~大胆不敵な御曹司は訳ありお嬢様に愛を教え込む~
「え? 明日からお仕事なんですか?」
食事を終えて近くを散歩し家へ戻って来た時に、櫂さんからそう言われて少し驚いた。もちろん彼が仕事をしているのは分かってはいたものの……
私はまだ櫂さんがどんな仕事をしているのかも、聞かされてはいなかったので。
「ああ、籍を入れたとはいえ式も新婚旅行もまだなんだ。あまり休ませてはもらえなくてね」
櫂さんはSHINKAWAグループの御曹司、そう簡単に休める様な役職にはついていないでしょう。彼から言われるまで気付かなかった私もどうかしてる。
「そうよね、私の為に休ませてしまってごめんなさい。櫂さんは何の仕事を――え?」
謝って彼の仕事内容を聞こうとした私を、櫂さんは軽々と抱きかかえてそのままソファーに座らせる。
私のお尻が乗っているのは櫂さんの太ももという何とも恥ずかしい体勢で……
「か、櫂さん!」
「私の所為なんて、そんな事を言う千夏が悪い。可愛い妻のために休みを取る事の何がいけないんだ?」
少し怒ったようにそういう櫂さんだけど、本当は私を揶揄って遊んでるんだって分かる。何となく悔しくて、そのまま櫂さんに両腕を延ばしてギュッと抱きついてみせると……
「え、あ……ちょ、千夏?」
すぐに焦ったような櫂さんの声が胸の下から聞こえてくる。これで仕返しした気分になってちょっとだけスッキリして腕を離した。